つつのんの気まぐれ日記

アラカン女子の複雑怪奇な頭の中を書いていきます。

アイ・フィール・プリティー思い込みの力で人生は一瞬で輝きだす?

あなたは自分のことをどう思っているだろうか。

私は何のとりえもないつまんない女だ。美人でもないし、スタイルだってよくない、仕事も大したことやってない。上司はいつも同僚ばかりほめるし、安月給な割にこき使われるし、おまけにいい男にも出会わない。仮に出会ったとしても男は美人を選ぶし、自分なんか相手にされない。世の中不公平だ。

もしあなたがそう思っているなら、多分正解だ。

いや、それとも私は美人で魅力的だ。周りの男性はみな優しいし、好きな仕事でやりがいを感じている。友人も家族も私を理解してくれているし、同僚にも恵まれている。私は毎日何が起こるのか楽しみで仕方がない。

もし、あなたがそう思っているなら、やはりそれも正解だ。

 

2018年公開された「アイ・フォール・プリティ」は多くの女性に元気と希望を与えた映画の一つだと思う。

主人公レネーは地下にあるオフィスでつまらない仕事をしている太めでさえない女子。そんな彼女がある日頭を打ち、鏡の中の自分が絶世の美女に見えっるようになる。つまり、さえない女性からナイスバディの絶世の美女に変身したのだ。でも、これって彼女のタダの勘違いだ。ただこの思い込みによって、突如として恋も仕事もうまくいくようになる。彼女の人生が輝きだすのだ。

もともとコンプレックスの強いレネーは、昔から美女の気分か味わってみたかった。

きっと多くの可能性が広がる!

 

私たちだって思ったことはないだろうか。もしも自分がものすごい美人に生まれていたら、素敵な男性をただ遠くから嘗め回すだけの片思いなどしなかったはずだ。クリスマスイブに残業を買って出ることも、誕生日に自分で一人分のケーキを買うことも、バレンタインに渡せなかったチョコを自分で食べることもきっとなかっただろう。

 

レネーは言う。マスカラやファンデじゃ何も変わらない。奇跡を願うだけ

 

奇跡はめったに起こらないから奇跡というのだ。しかも奇跡は何か特別な人にだけ起こるんじゃないの?とさえ思えてくる。

 

神社巡りもしたし、壺も買った、幸せになるペンダントもつけている、ありがとうも1日千回は唱えている。

 

なのに何で?なんかぜーんぜん、人生変わらないんですけど・・・・・

 

こういう人は多いと思う。

 

雷の雨の中、噴水にコインを投げ「私は美しくなりたい!」と願いを口にする。

お願い

お願いよどうか

願いは届かない、鏡の中のレネーは以前さえない女子。

 

私たちは、このレネーと同じことをやっている。願うだけじゃ叶わない。いやというほど知っていないか?

 

そんなレネーに頭を強く打ったことによって奇跡が起こる。勘違いという奇跡だ。

ナイスバディ?

美しいわ!

それをホントだと思い込む場面は笑いを誘う。

鏡の中のレネーは太っちょのままで美人とは程遠い以前のままのレネーだ。

変わったのは、彼女の自分に対する思い込みだ。

 

私はこの場面を見た時、ふと高校時代のF子のことを思い出した。彼女ははっきり言って、美人とは程遠く、しかもちょっと太めの女の子だった。多岐川裕美のファンだった一重のつぶらな瞳のF子は、アイプチなど使わず、メンディングテープ(光らないセロハンテープ)を三日月型に切り取り、くっきりとした二重瞼にしていた。

これじゃないと多岐川裕美の目は作れないのよねー。

と、F子はよく言っていた。

さすがにその手法には驚いたが、丸顔の彼女はやはり多岐川裕美にはどう見ても似ることはなかった。と、最初は思っていた。

F子の部屋には何枚もの多岐川裕美のポスターが壁中に貼ってあり、彼女はそのポスターの中の多岐川裕美のポーズや色っぽいまなざしをまねして見せた。違和感ありすぎて、いつも爆笑だった。

しばらくすると、友人の一人がF子に言った。お世辞とかじゃなく、喜ばせようと思ったのでもなく本心だったと思う。

「F子って、最近思うんだけど、なんか雰囲気似てるよね、多岐川裕美に」

「確かに‥‥何となく似てるかも・・・」私も認めた。

顔の一つ一つのパーツは全然違うのに、どこが似てるのかさっぱりわからなかったが、そう思わせる何かがF子にはあった。

「え?やっぱりそう思う?」F子はぬけぬけと言った。

そこは、否定するとこだろ?でも、そう言ってのけるのがF子なのだ。

F子が自分のことを本気で多岐川裕美に似ていると思っていたかどうかはわからないが、少なくとも自分のことを多少なりともイケてるいい女だと思っていたことは確かだった。

なぜなら、彼女は不思議なことに彼氏がずっと途切れずにいた。もちろん、彼女の明るい性格もあっただろうし、何より男性に対して積極的だった。しかも彼女には自慢の大きい胸とドラム缶のような胴に不釣り合いな細いきれいな足があった。

でも、それだけじゃ普通モテないだろ?

 

高校時代、解けなかった謎の一つであるが、ここにきて、それは彼女の思い込みの成果ではなかったのか。

ナイスバディ?

私は美しい?

F子は、いつも鏡を制服のポケットから取り出し、自分にニコッと笑いかけていた。

 

恋人のイーサンがレネーに聞く。

どうやったら、そんな風になれるの?

何が?

君は自信にあふれている。

変わったの。

どうやって?

心の底から信じるようになったの、強く望めば夢がかなうとね。

そして本当に叶った。

 

それから、一転。

再び、頭を強く打って気絶したことによってレネーの魔法は解ける。鏡に見えるのは、以前のおデブでさえない女子だ。本当は何も変わっていない。それなのに美しくなくなったと感じるレネーは何事にも自信が持てない以前の自分に戻ってしまう。。

もう恋人のイーサンは愛してはくれないだろう。

華やかな有名化粧品会社の仕事も美しさを失った自分にはふさわしくない。

これもまた、思い込みだ。傍から見てると、かなり滑稽である。

思い込みの力はいい方にも悪い方にも私たちの人生を大きく左右する。

 

レネーはやがて気が付く。美人だと思い込んでた自分とさえない自分が全く同じだったことに。何も変わってはいなかったのだ。

レネーは言う。

 

魔法なんかじゃなかった。

ずっと私だった。

子供のころは、誰もが自信に満ち溢れている。

お腹が出ていようと、思い切り踊ってパンツをっ食い込ませる。

でもあるきっかけで疑問を抱き始める。

砂場で誰かに意地悪なことを言われて。

何度も自分を疑ううちに

すべての自信を失う。

自尊心や信念もすべて消えるの

でも、それに打ち勝つ強さを手に入れられたら?

そうでしょう?

見た目なんて関係ない、声もね。

子供のころの自信を失わないで。

誰かに能力がないとか、美しくないと言われようと、

私たちの強さや賢さはもっと素晴らしいものよ。

 

だって私は

私だから!

私は私であることを誇りに思う。

変えるのはあなたよ。

 

私たちはいつだって、他人に力を授けている。そうして他人がどう思うかによって、私たち自身がどんな人間なのかを決めていないだろうか。

私のことは私が決める!そう思えたら、私たちの人生は一瞬で輝きだすのかもしれないな。思い込みの力で!

レネーはそう教えてくれている。