つつのんの気まぐれ日記

アラカン女子の複雑怪奇な頭の中を書いていきます。

人間の遺伝子に優劣はない?遺伝子って実はすごいやん!と思った理由

以前実家で押し入れの掃除をしていた時、小さな白い菓子箱を見つけた。中を見ると写真が数枚無造作に入っている。母がまだ結婚する前の写真だ。写真の裏には昭和28年と書かれているので、母が21歳の時だ。20代の頃の姉にあまりに似ていてびっくりしたことがあった。どちらかが同じ時代にタイムスリップして並んだら、双子と言ってもいいほどだ。もともと姉は母似だと親戚中から言われていたが、これほどまでに似ているとは・・・・さすが血のつながりってすごい。だが、私がほんとにすごいと思ったのはのはそこじゃない!

 

世の中の親子が皆そっくりということはないが、どこかしら何かしら似ているものだ。

 

身長が高いとか、運動能力があるとか、頭がいいとか、鼻が低いとか、足が短いとか、顔がでかいとか、ハゲてるとかの身体的特徴だけでなく,気が強いとか、内気だとか、精神的特徴まで血のつながりで受け継ぐことがある。

 

キムタクと工藤静香さんから不細工な子供が絶対生まれないように、反町隆さんと松嶋菜々子さんのお嬢さんなんてどんだけきれいなんだよ!と見たこともないのに思う。タカの子はやはりタカなのだ。トンビの子はやはりトンビで、カエルの子はやはりカエルである。自分の周りを見てもあの親にしてこの子ありと思うことはよくある

 

親子の関係は切っても切れないと言うが、それは遺伝子は変えられないということからもそう言えるのではないだろうか。でもここで、遺伝子が変えられるとしたら?

 

そんなこと無理やん!

 

あきらめるのはまだ早い。

 

筑波大学名誉教授の遺伝子工学の分野で様々実績を持つ村上和雄氏によると、遺伝子にはオン、オフのスイッチがあると言う。(村上氏の著書:大丈夫!きっとうまくいくより)

 

私たちの身体は6兆の細胞で出来ている。細胞の中には核と呼ばれるものがあり、その中に遺伝子情報が蓄えられている。それ情報を握っているのがDNA(デオキシリボ核酸)である。DNAはらせん状のテープになっていて、4種類の化学文字、塩基で表される情報が書き込まれている。これが遺伝子情報である。この塩基1個に含まれる遺伝子情報は30億個もあるらしい。これは1000ページの本3000冊分だとか。これが人間の細胞の数だけあるのだ。つまり成人なら60兆個だ。

 

これら一つ一つの細胞の中の遺伝子はみな同じ情報を持っている。その証拠に髪の毛からでも、唾液からでも、爪からでもDNA鑑定ってできるだろ?どれでやってもそのDNAの結果はは同じなのだ。

何だか金太郎あめみたいだ。どこを切っても金太郎の顔が出てくるみたいな・・・・。

 

でも、ここで不思議に思うことがある。心臓にしろ肝臓にしろ胃にしろその働きはそれぞれ違う。それなのにそれを構成する細胞ちゃんとそれに見合った働きをする。見事な調和のもとに!

 

何で?細胞の中にある遺伝子情報は心臓も肝臓も胃も同じ情報のはずだ。

 

それを紐解くのが村上氏の言われる「遺伝子はオンオフのスイッチがある」といわれるゆえんだ。 

 

心臓にある細胞の中にも肝臓を働かせる遺伝子情報があるのだが、そのスイッチが入っていない。つまり、心臓には心臓を動かす機能を動かす遺伝子情報だけががオンになっており、肝臓には肝臓の、胃には胃の働きに関するスイッチがオンになっているということである。たった一つの細胞の中に生命を動かすすべての情報が入っている。そしてそれをオンオフのスイッチで自動的にコントロールしていると言うことらしい。

 

しかも驚くべきことは、私たちが使っている遺伝子情報は全体の3%しか使っていないという。

 

30億というほとんどの遺伝子情報はまだ日の目を見ず眠り続けているのだ。

 

小学生の頃、同じクラスに給食の牛乳瓶のふたを開けるのがものすごく速い男の子がいた。彼はよくクラス全員の牛乳瓶のフタを開けて回ったがそのスピードある手さばきに私は感動に近いものを覚えた。尊敬の念である。

 

今思うと、彼のDNAには手先が器用という遺伝子情報が書き込まれており、それを牛乳瓶のフタを開けるという行為で表現した?

 

というより、それは彼が牛乳瓶という素材によってその能力をオンにしたのだ。もしかしたらそれは私の遺伝子情報にも同じことが書かれていたかもしれないが、私の場合そのスイッチがオフになっていたのだろう。その後も私が手先が器用ということで脚光を浴びることはなかった。その理由は「私には不器用でそれは絶対できない!」と思っていたからだ。

 

何だか、人間の生命の根源でもある遺伝子のたとえにしてはショボいんですけど・・・・

 

それはともかく・・・・

 

人間には眠っているオフ状態の遺伝子情報の方がはるかに多く、それは私たちができない!と思ってあきらめてきた情報かもしれない。これはもったいない話である。

 

私たちは遺伝子学から見ても多くの潜在能力を持っていて、スイッチを切っている状態だ。目の見えない人が驚くほどの聴覚能力を発揮するのを多くの人がご存じだと思う。

 

全盲のピアニスト辻井伸行さんのピアノ演奏を私はユーチューブで時々聴く。その美しい音色はザワついた気持ちを静めてくれる。ピアノとクラッシックにずっと縁がなかった私でもその音はなぜか心に届く。彼は20歳の時、アメリカのヴァン・クライバーン国際コンクールで日本人初の優勝という快挙を成し遂げた。彼は生まれつきの全盲であったが、幼いころから音に敏感で洗濯機や掃除機の音、小さな音にも敏感に反応し泣き叫んだという話を何かのテレビで言っているのを聞いたことがある。彼は、モノを見る遺伝子はシャットアウトされているが、その代わりに人より敏感な聴覚という情報がオンしたのだろう。もちろんそれだけではない。絶対音感、手先の器用さ、努力を惜しまないなど様々な遺伝子情報もオンしたのだ。

 

私たちは何かを失ってもそれを補う何らかの遺伝子情報も持っているのだ。それをオンにするかしないかは私たち次第である。

 

それでも、遺伝子情報は必ずしもいいものだけだとは限らない。なかには眠ったままでいてほしい遺伝子情報もある。

 

その最たるものが病気の遺伝子ではないだろうか。私たちが健康診断に行くと問診票を書かされると思うが、その中に親兄弟の病気歴が質問される項目がある。

家族の病気がその人の病気に関連付けられるからだろう。

 

数年前であるが、ハリウッドスターのアンジェリーナ・ジョリーが母親が乳がんで50代で亡くなったので、自分も遺伝子検査を受けた。乳がんになるリスクが高いと判断され、そうならないよう彼女は乳房を切除した。彼女の勇気には畏敬の念を抱かずにはいられないが・・・遺伝子のことをちょっとだけ知ってみるとそれってどうなのかな?と思わずにはいられない。

 

だって、発がん遺伝子って誰もが持っているのだとか。それをオンにするかオフにするかはむしろ環境因子だ。とは言え、ヘビースモーカーでも肺がんにならず健康な人はたくさんいる。逆に食事に気を配り、適度な運動、規則正しい生活をしてきた人が早死にしたりすることもある。それは環境因子だけでは説明できない。何らかが何らかの遺伝子情報にアクセスし、いい遺伝子情報、悪い遺伝子情報をオンにしたり、オフにしたりしているのだ。

 

そんなことができるのか?遺伝子情報にアクセスした何らかって何だ?

 

明確なことは分からない‥‥遺伝子の大部分が未解明なのだ。

 

それでも何らかの答えを導きだそうとすると、それは人間の生き方、考え方ではなかろうか、すなわち思いである。と村上先生は仰っている。さらに、飢餓状態が眠り続ける遺伝子情報をオンにするとも。ここでいう飢餓状態とは何も物理的な飢餓状態ではなくハングリー精神のことでもある。要するに何かを強く求める心だ。

 

遺伝子とは人間の身体の設計図である。人間の細胞の中の一人一人に書かれている30億という遺伝子情報はそれぞれ違う。その遺伝子情報に書かれていないことはまず実現できない。それでもその30億のほとんどはスイッチがオフ状態で表に活動しているのはわずか3パーセントほどらしい。そう考えると誰の遺伝子が上だとか下だとかはない。人間はすべて横並びなのだ。その一部、記憶力、計算力、運動能力、などを取り出し、優劣をつけるのは人間の愚かさなのだ。

 

よく私たちはあの親だからどうせ頭が悪いとか、どうせ金持ちにはなれないとか、どうせ運が悪いとか思ったりする。子供は親を見て育つものだから、「人生たかが知れている!」と妙な思い込みを持ったりするものだ。

 

でも、それって3パーセントだよね?って話である。

 

たった3パーセントで私たちはもがいているのだ。そしてその3パーセントの遺伝子でさえオン、オフをコントロールすることはある程度可能なのだとか。

 

いい遺伝子のスイッチをオンすることで人間の可能性は大きく広がる。そしてそれを成し遂げてくれるのが笑い、感動、楽しみ、喜び、祈りであると、村上先生は確信していると、ご自分の著書の中で言われている。そしてその研究に力を注がれている。

 

いつしかそれが、科学的に証明される日が来るのかもしれない。

 

希望の持てる話である。どうせならもっと若いうちに知っておきたかったなと思う反面、まだ大丈夫じゃないか?とも思う自分がいる。だって遺伝子情報は年を取らないらしい。20代の私も50代後半の私もその30億の遺伝子情報は同じままだ。もし変わったとすれば、そのオン、オフだろう。

 

冒頭で出てきた20代の頃瓜二つだった母と姉、それが時を経て姉が60代、母が80代になった頃、二人の顔は似ても似つかない顔になっていた。不思議だ。あれほど似ていたのに・・・・。

 

きっと二人は20代以降、遺伝子情報のオン、オフのスイッチの入れ方が大きく違っていたのだろう。食べるもの、出会う人、職業、人生観、思い、それらによって、私たちは遺伝子のスイッチを切ったりつけたりしながら生きているのかもしれない。

 

そう考えると・・・・

 

遺伝子、環境、思いが相互に織りなし運命が作られていくのかもしれないな。一枚のタペストリーを作り上げるように。

 

ならばそのタペストリーは自分の気に入る作品でありたいと思う。

 

どうやって?

 

大きく笑うこと!いいものをたくさん見て感動すること!好きなものでドキドキしたり、ワクワクすること!

 

今まで遺伝子について、それは変えられない宿命みたいなもの。お父さんとお母さんの性質を少しずつもらって、たまにおじいちゃんやおばあちゃんのももらって組み合わされたものが自分だと思っていた。でもそれは大きな誤りだったのだ。

 

私達は30億もの遺伝子情報を持っているのだ。その遺伝子情報には私たちが思いつくありとあらゆる可能性が含まれているのだ。

 

さらに・・・・

 

仮説に域を出ないが、人間の遺伝子情報には自分の親、先祖だけではなく人類の過去生き延び進化してきた記憶や能力さえも含まれている可能性もあると言う。

 

遺伝子ってすごいやん!知れば知るほど、そう思わずにはいられない。遺伝子は私たちが思っているものとは大きく違う。人の遺伝子に優劣はないのだ。それは可能性の宝庫なのだ!