つつのんの気まぐれ日記

アラカン女子の複雑怪奇な頭の中を書いていきます。

マズローの5段階欲求説に違和感を感じた話、人の欲求は順番通りにいかない?

私は今、失業中である。もちろんヒマ。

 

ふと思い立って、福祉のお話を聞きに行ったらマズローの心理学の話が出てきた。

 

もちろんマズローさんのことは知っていた。若いころから心理学の本は山ほど読んだし、その分野の講演会などもよく聞きに行った。

 

アブラハム・マズロー博士(1908-1970)は、アメリカの人間性心理学の権威である。その理論は多くの教育の場で利用されている。

 

看護や介護の学びにおいて、このマズローさんが唱える5段階欲求説を理解することが大切だと言われている。人を知るには、人の欲求を知ることが早道である。

 

だが、30年もの月日を隔てて、今あらためて学びなおしてみると、すんなり受け入れられた20代と違い、メチャメチャ違和感を感じた。

 

なぜだ?その理由って何だろう。

 

マズローの欲求段階説とは?

  

人の欲求には5段階あり、ピラミッド構図になっている。基礎となる欲求から順に①生理的欲求②安全欲求③社会的欲求④承認(尊敬)欲求⑤自己実現の欲求となる。人間は①から順番に欲求を抱いていくというのだ。

 

①の生理的欲求が一番下位で最も満たされやすく、⑤の自己実現が一番上位で満たされにくい欲求である。そして、人間は下から順番に欲していくらしい。要するに日ごろの生活にアクセクしている人は自己実現のことなど考えることもないってことなんだろうね。極端な説明かしら?

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マズローの欲求段階説

 

①生理的欲求は生きる上で根源的欲求である。

三大欲と言われるのが食欲、睡眠欲、性欲で、その他にも排せつしたい。呼吸したい、お水飲みたいなども生理的欲求に含まれる。

 

②安全・安心欲求は、身体の安全、精神の安心、経済の安定のなどが含まれる。私たちが、モノを所有したり、お金を欲しがるのはこの安全安心の欲求がもとになっている。

 

③社会的欲求は集団に属していたい、仲間を作りたい、頼りにされたい、愛されたいなどの自分以外の人とつながっていたい欲求である。

 

④承認欲求は認められたい、褒められたい、有名になりたい、あの人すごいと言われたいなどの名誉欲などである。

 

⑤自己実現の欲求は個性や能力を思う存分発揮したり、完全な自分になるなど理想を実現したい欲求である。

 

20代の頃、私はマズローの5段階欲求説に関して「全くその通り!」と、深く納得したものだ。

 

当時は、生理的欲求、安心の欲求、社会的欲求までは、誰もが満たしているものだと自然と受け入れていた。

 

食べて寝てすくすく育って、好きな人ができて家族になって子供ができて、仕事があって、昇給して、時々仲間と飲みに行って・・・・これ自然なことだったよね?

 

でも、今は違う。

 

まず一段階からつまずいている。3大欲求と言われる、食欲、睡眠欲、性欲は誰もが満たされるものではなくなった。今の世の中、呼吸したい、排せつしたい、お水飲みたいなどの自然と行われるものは別にして、三大欲求となると、食欲ぐらいしか満たされていないのではないかとさえ思う。どっちかというと、(人間が邪魔さえしなければ)鳥や魚や虫の方がこの生理的欲求は、よほど満たされている気がする

 

人間は不眠症多いだろ?都会は明るすぎて星も見えないだろ?恋愛しない人も増えてるし、そもそも異性に興味がないなど。欲求が食欲だけに偏りすぎて、現代人は食べ過ぎで、成人病が世の中にはあふれている。

 

二段階目の安心欲求についても・・・・そりゃー昔に比べれば、安心だと思うよ。戦争もなければ、医療の発達で助かる命も増えた。住む家もあるし、多少の貯金もあれば、ちゃんと保険もかけている。それなのに、不安で、心が病んでる人がたくさんいるのはどういうことだろう。

 

三段階目の社会的欲求についても・・・昔は、誰もが様々なコミニティに属していた。ほとんどの人が家庭を持ち、子供は学校に行き友達と遊ぶ。大人は会社に行き、会社の行事(忘年会、レクレーション、慰安旅行など)に参加する。町内の運動会に家族で参加したりと、老人会、子供会など、みんな何らかの集団に属していた。そして、それが何らかの安心をもたらしていた。

でも今、「集団に属したい」とか、「仲間とか別に要らない」とか「人に合わなくても平気」という人が増えてきた。人間関係を煩わしく感じる人が増えてきたのだ。できれば、家の中で、ずっとユーチューブを見たり、ゲームをしたりして暮らしたいと思っている人は意外と多いと思う。

 

それに、子孫を残したいという思いは人間の本能である。遺伝子にはそれが組み込まれているはずなのに、それさえ発動しない人達もいる。というより、昔の人に比べるとはるかにその思いは希薄になってきている。

 

今の現代人は4段階目の承認欲求がやたら強いように感じる。認めて!という思いは、今も昔も誰もが持つ欲求であるけれど、今ほど強烈ではなかったように思う。

 

 

昔は仕事で上司に認められなくても、友達や同僚と飲みに行って憂さ晴らしができた。他人に認められなくても、信頼できる家族や仲間がいればよかったよね。それが憂さ晴らしも、信頼する人もいない人が今は増えた。そうなると、ネットの中で別人格をつくり幸せアピールをするか、いっそのこと、SNSで見知らぬ誰かをこき下ろすか、はたまた、心を病ませて周りを心配させるか‥‥そんな方法で承認欲を満たす。ホント変な世の中だ。

 

それから、5段階目の自己実現にしても・・・・仕事を失い、家続や友人の信頼もすべて失って、毎日腹減ったと言いながら、起死回生で自己実現しようとする人、あなたの周りにいない?夢を追う前に、ちゃんと栄養取れよ、家賃滞納するなよ、前歯欠けてるの治せよ、お母ちゃん病院連れて行けよ、子供の給食代払えよって言いたくなる人。

 

マズローさんは 「人間は下位の欲求が満たされるごとにもう一つ上の欲求を持つようになる」と言ったけれど、私は現代人にはそれが当てはまらないと思う。今時の人は、全然下位の欲求が満たされていないのに(またはその欲求は持たないのに)、上位の欲求を持つ人は多い。特に承認欲求と自己実現の欲求が強い人がやたら増えたように思う。

 

人の欲求は順番通りにいかない・・・・

 

私は介護の説明会であることもすっかり忘れて、そんな思いにとらわれた。

 

でも、待てよ?人間性心理学の生みの親ともいわれているマズローさんが間違っているはずがないではないか。

 

と思いながらも・・・・・

 

やっぱり、私は5段階欲求説に違和感を感じてしまう。

 

あなたはどうだろう?あなたの周りはどうだろう?

 

欲求は順番どおりですか?