つつのんの気まぐれ日記

アラカン女子の複雑怪奇な頭の中を書いていきます。

派遣ですけど、50代後半で会社クビになりました、まだまだ働きたいんです

私は会社(派遣先)をクビになった。同じ派遣会社の人は全員である。これが巷でよく聞く派遣切りというやつなのだな。まさか、そんな事態がわが身に起こるとは思ってもみなかった。名目は業績不振だそうだ。

 

 1カ月前のこと─────

 

私はその日仕事がお休みで、キッチンで缶切りを探していた。ジャージの後ろポケットに押し込んでいた携帯がブルンブルンと震え「森のくまさん」の着信音が鳴った。

 

派遣会社の担当者からだ。この担当者めったに電話をかけてくることはない。派遣先にも顔を出さない。何の用だ?

 

担当者は申し訳なさそうに、業績不振のため派遣先と派遣元の契約が切れたことを告げた。

 

「業績不振?そんなことあります?コロナはあまり関係ない職種なんですけどね」そう派遣会社の担当者(男)を問い詰めると、彼はただひたすら謝った。

 

「もう、決まったことなので・・・・私の力不足です・・・・」と平謝り。担当者の力不足でクビになるわけ?

 

理不尽だ、あまりにも理不尽だ!決まったこと?当人がいないところで?

 

今の世の中、こんなことごまんと起きているんだろうな。他人事のように言っているが、わが身に起きた現実である。

 

                                  

運命を分けたものは何? 謎だらけ

 

派遣は全員クビかと思いきや、違っていた。今回の業績不振でクビになったのは私が所属しているAともう一つBの2つの派遣会社である。数は少ないが残り2つ(CとD)の派遣会社は継続だった。この選んだ基準が疑問である。継続組CとDの派遣会社にはちょっと問題ありの人も含まれていたからだ。

 

どうやってクビと継続分けたの?運命を分けたものは何?謎である。

 

自分で言うのもなんだが、私達A派遣会社所属は黙々とよく真面目に働いてきたはずだ。そして、急な休みも、直近のシフト変更の要請にも柔軟に応じた。A派遣会社には40代以上が多く、既に子供に手がかからなくなっていたので、土、日、祝日の出勤もアテにされていた。

 

この会社(派遣先)は離職者が多かった。もともと電話オペレーターの仕事は離職率が高いと言われる。会社(派遣先)はコールセンターではなかったが、仕事的には似たようなものだ。むしろ、社員、契約社員、直雇用のパート、派遣といくつもの雇用形態があり、人間関係も、仕事も複雑だった。

 

途中で辞めていった人が多いのはCの派遣会社である。最短で3日で来なくなった人もいた。しかも問題児のあの子がいる。あの子とは、お客様との電話で、つい余計なことを言ってしまうと主任が頭を抱えている20代前半の女性だ。彼女はミスの常習犯だ。そしてD派遣会社などは、つい半年前に新規で入ってきた派遣会社である(やめた人の穴埋めで雇い、人数はほんの数名)

 

なぜ、クビになったのが、つつがなく仕事をこなしているAとBの派遣会社だったのか?

 

実は、継続組のCの派遣会社にはリタイア者が多く出ており、勤続年数が皆浅い。しかも若い人が多い。Dの派遣会社は新参者なので全員半年以内である。それとは違って、AとBの派遣会社は2年越しの派遣が結構いる。仕事という土俵の上ではA、Bの派遣の方が有利であるような気がするが。ただA、Bの派遣は40代以上の人が多かった。この会社は正社員を含めると全体的に若い人たちが多いが、一気に平均年齢を上げているのは、このA、Bの派遣会社の者達であった。ちなみに私は、事務所の中では最年長である。

 

この会社、派遣で3年続いて社員になった人は一人もいない(3年たったら、派遣会社が社員にしませんか?と打診してくれる)私も、この会社に仕事が決まったとき、言われた。

 

「希望されれば、3年たった後も、ずっと働き続けることができますよ」と。

 

そんなこと嘘やん、と思った。

 

そうなる前に、たいがいこんな理不尽なことが起こるんだよな。いや、わざと起こしてるんじゃないかとさえ思ってしまう。

 

同じ派遣仲間のSさんが勤続期間が短いC、Dではなく、私達A、Bがクビになった理由に、ある仮説を立てた。

 

3年目の雇止めを今してんじゃないですか?コロナでチャンスですよね?辞めさせるグッドタイミングじゃないですか!

 

うがった見方かもしれないが、まんざら当たっていないわけではないと思う。

 

 3カ月前ぐらいから、感じていた。

 

社員が遊んでいる────

 

トイレに立つとき、どうしても社員の後ろを通る。いつもネットショッピングの画面が開かれているのだ。うつむいて資料を見ているかと思いきや、携帯でしきりに文字を打っている。多分ラインのやり取りでもしているのだろう。

 

たまたまだよね?・・・・でも、頻繁に見かけた。 

 

この会社暇なの?

 

半年前までは舵は人員を増やす方向に向かっていたような気がする。ハローワークには常に求人票が出されていた。もちろん、雇いたがっていたのは派遣ではなく直雇いのパートの方ではあった。そっちの方が会社経費としては断然安い。

 

それなのにクビ?ってどうよ、たった半年で、経営が悪化した?コロナ始まったのって、一年も前からなんだけど。

 

クビを宣告された派遣は、何だか、もて遊ばれているような気がしてくる。

 

人は景気が悪くなると、守りに入る。

 

私は二年前に、この会社に派遣された。最初の一年は次から次へと、辞めていく人が多かった。仕事のややこしさ、丁寧に教える人もおらず、機嫌が悪いと誰構わず怒鳴り散らす上司までいた。とても居心地のいい職場とは言えなかった、特に新人の頃は。

 

私も、私の周りも辞めたいと思っている人は派遣には多かった。今年の4月、コロナで緊急事態宣言が発令された。このころから、人がピタリと辞めなくなった。

 

TVニュースでは職を失って途方に暮れる人たちが、画面に映し出されたりしていた。私の周りもコロナで環境が変わった人たちがいた。ホテルに勤めていた知り合いは働く時間を減らされ、ダブルワークをしようと仕事を探し始めていたし、別の知り合いは私と同じように、先にクビになっている。

 

この時期、この会社(派遣先)で仕事を減らされる人もいなかったので、

「やっぱり大きい会社は強いですよね」

ずっと辞めようかと迷っていたSさんが、辞めたいと言わなくなったのもこの頃からである。

 

人は不景気になると転職を思いとどまるものだ。どうしても守りに入るのだ。

 

その心理は多くの人が感じるものだと思う。

 

 最初派遣会社の担当者から電話があったあの時、私は缶切りを探していたが缶詰を食べようと思っていたわけではない。私は7年かかって貯めた500円玉の入った缶の貯金箱を開けようと思っていたのだ。やっと満杯になった。だが、その缶を開けることはなく、満杯のまま、元の位置に戻された。

 

コーチのバックを買おうと思っていたのだが、たった一本の電話で気持ちが変わった。

 

そのうち、このお金が必要になるかもしれない・・・・

 

私はバックを買う喜びよりも、守りに入ったのだ。

 

無職生活開始

 

私はすでに仕事に行っていない。有休消化で、ちょっとみんなより早めに休み?いやいや、無職生活に入った。

 

最初は、断捨離にはまったが、一週間ほどで飽きた。その後、家じゅうのカーテンを洗ったり、押し入れやクローゼットまで、ピカピカに掃除しまくった。

 

その後、やってきたのは恐れの感情である。いろいろ忙しくして気を紛らわそうとしていたが、どうしても向き合わなくてはいけない感情ではある。

 

別に、四六時中考えているわけではない。そんなことをしていたら、気が滅入る。ふと何かの拍子に湧き上がってくるのだ。

 

それほど深刻なものではないが、できれば、せっかくの休みなのだからつまらない考えに支配されたくはない。だがやっぱり考えてしまう。

 

仕事はあるのか?幸い、子供はすでに社会人である。別に急いで働き口を見つけなきゃいけないというわけではなかった。でも、焦る。おちおちしてると、このまま仕事がないんじゃないか?もしくは、あるにはあるが、慣れない仕事で身も心も疲弊してしまうのでは?老け顔になって、腰まで曲がって?このまま引きこもりになって誰とも話さず、鬱になるのではないか?私はこれといった趣味がない。私は友達が少ない。ちょっと話すぐらいの友達未満は多数いるが、家にこもったら、彼女たちとの縁もどうなるかわからない。いよいよひとりぼっちになるのではないか?ここはやはり一日も早く仕事を見つけるべきだろう。派遣会社からは、今のところ仕事の紹介は難しいと言われていた。

 

私の年齢は50代後半である。ただでさえ年齢的に不利なのに、世の中はコロナで失業者があふれている。この年齢でも仕事はあるのか?

 

6月に先にクビの経験をしている友人は、来年の2月には失業保険の支給が終わる。彼女はその間、失業保険に胡坐をかかず、一生懸命仕事を探したのに未だ就職先は見つかっていない。

「今度ばかりは無理みたい」彼女の口からは弱音が出ていた。

 

そんな弱音を吐かず、私に希望を与えてくれ。彼女は私より、若い。

 

私は以前派遣の現実について書いたことがあるが、その中で、私はこう言っている。

「新しい包丁でも買い替えるように軽い気持ちで、次の仕事にトライしたいと思う」と。

 

冗談じゃない。軽い気持ちなんてみじんもないじゃないか。 あの時の私は派遣の現実を知ってはいても、60歳を目の前に迎えた者の、就活の現実は知らなかったのだ。

 

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 なぜにこうも早く仕事を見つけようとするのか?失業保険もらってゆっくり休めばいいじゃん。頭の片隅ではそう思う自分もいる。だが、私が焦る最大の理由が、ぼやぼやしてると、私はまた一つ年を取る。また一つ60歳に近づくのだ。60歳って世間じゃ定年だろ?男性でも定年後は警備員の仕事とか老人ホームの車の送迎とか、軽作業とか、これまでの仕事とは全く違う職種を選ばざるを得なくなるケースが多い。これまでやってきた仕事をそのまま別の会社で活かせる人はほんの一握りだろう。私のように何のとりえもなく年取った女は、どうすんだ?

 

まだ何も、始まってはいない。さてさてこれからだ。私は一つ一つ60歳目前の就活の現実を知ることになるのだろう。

 

それでも、人生100年、家に引っ込むには早すぎる。

  

まだまだ、働きたい!そう思う人間を天は見捨てたりしない!そう信じている。